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死を運ぶ…

第1章 死を運ぶ文鳥


そう思ったとき、チャイムが鳴り響いた。

誰だろう…。


「あぁ、姉ちゃんは座ってて。俺が出るから」


立ち上がろうとした私を忠は座るよう促し玄関へと向かった。

ドアが開く音がして、微かに話し声も聞こえる。

男の人の声だ。

少しして、パタパタと廊下を歩く音が聞こえ忠がリビングに入ってきた。


「姉ちゃん、彼氏さんだよ」

「え?」


続けて入って来たのは透だった。


「透!」


思わず立ち上がり駆け寄り抱き付く。


「香織…」


透も優しく抱きしめてくれた。

その大きくて温かい体に包まれ、安心して、涙が溢れそうになる。


「ニュースで色々見て、居ても立ってもいられなかった」


優しい声で呟かれ、目尻に涙が溜まる。

泣いちゃダメだ、心配かけちゃう…。

ぐっと堪え、小さな声で呟いた。


「来てくれてありがと…」


透は「うん」と言って私の頭を撫でる。

それから椅子に座らせられた。


「透さん、コーヒーでいいですか?」


キッチンでなにやらしていた忠が透にそう呼び掛けた。


「あ、手伝うよ」


透は慌ててキッチンに向かい忠と話をしながら飲み物の準備をする。

私はその間、透の体の余韻を感じていた。

私が辛い思いをしている時、いつも抱きしめてくれる。

そんな紳士的な彼が好きなんだと、改めて思った。


「香織、コーヒー」


マグカップを手渡され、ほんのりとコーヒーの香りが鼻をついた。


「ありがとう」


そう呟き、コーヒーを飲む。

温かい…。


「透さん、姉ちゃん体調が優れないから部屋に連れて行って見ていてくれると有難いです」


忠はそう言ってコーヒーをひとくち飲んだ。
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