第1章 死を運ぶ文鳥
「分かった、連れて行くよ」
忠、私たちに気を遣ってるのかな。
別にいいのに…。
そう思うも、弟の言葉に甘え透と共に私の部屋へと向かった。
部屋に入り、ベッドに寝かされる。
「何かほしいものあったら持ってくるけど」
「ううん、大丈夫。ここに居て」
そう言うと、透は微笑んで私の頭を撫でた。
「ん?」
私の頭上に視線を移し目を細めた透。
「どうしたの?」
透は見ていたモノを手に取り私に見せた。
「…!」
黒い羽!
思わず起き上がったが、また頭が痛くなった。
「うっ……」
「香織、大丈夫か?」
「う、うん、大丈夫…」
私、持ってきちゃったのかな。
でもそんな覚えはない…。
だったらどうしてここに…。
「香織……何か隠してる?」
「え?」
どきりとした。
「別に…何も…」
目を逸らしわざとらしく笑う。
だが当然、誤魔化せるわけでもなく。
「彼氏にまで隠し事?」
話さなければ、きっと彼は怒ってしまうだろう。
だけど、巻き込んでしまうのも嫌だ。
だってこれは、危険なことだから。
「香織」
透の大きな手が私の手を包み込む。
「俺は、どんなことでも受け入れるよ」
その優しい声と、真実を物語ってる瞳。
私は、甘えすぎだろうか。
透の優しさにつけこんでる気がする。
そんな自分に嫌気がさした。
でも今は、ただただ、優しくされたい。
そう思った。
「……あのね…」