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死を運ぶ…

第1章 死を運ぶ文鳥


その日の、夜のこと。

私がいつもの様に部屋で勉強している時に、みゆから電話がかかってきた。


「どうしたの、みゆ」

『香織、今すぐテレビつけて!』


慌てた様子の彼女に『早く!』と促され、言われるがままテレビをつける。

丁度ニュースがやっていて、そのアナウンスに私は、頭が真っ白になった。


『──里子さん17歳が、今日の午後6時30分頃、交差点で信号無視をした車にはねられ死亡しました』


嘘、でしょ…?

いやもしかしたら、同姓同名の人かも。

そんな期待を打ち砕く様に、テレビ画面に里子の写真が映った。


「あ…」

『香織、聞こえてる?香織!』


みゆの声で我に返り、携帯を持ち直す。


「うん、ごめん、聞こえてる…」

『今日はもう遅いから…。明日丁度休日だし、里子の家に行こう』

「うん…そうだね…」


集合時間を決め、それから電話を切った。

へたりと、その場に座り込む。

テレビ画面には事故が起きたとされる現場の映像が映し出されている。


「……?」


一瞬、ほんの一瞬だったが、しっかりと見えた。

あれは、きっと…。


「黒い…羽根」





2日目──



翌朝。

リビングに行くと、忠が朝食を食べていた。


「あ、姉ちゃん。おはよ。どっか行くの?」


私の服装を見て言った。


「うん、ちょっとね」


忠の前に座り、箸を取る。

目の前にご飯があったら喜んで食べれるのに、今は食欲がない。

ひとつため息をつき、箸を置いた。


「食べないの?」

「うん…。食欲ない…。ねぇ忠」

「何?」


食べ物を口に運びながら返事をする忠。

私はスッと息を吸い込み、静かに、でもしっかりと呟いた。


「あの『死を運ぶ黒い文鳥』の話、詳しく聞かせて」


驚いた様に少し目を見開いた忠は食べ物を飲み込み、箸を置いた。


「黒い文鳥の鳴き声を聞いたら、周りの人が死ぬって言うのは、知ってるよね」


私が小さく頷いたのを見て、忠は更に続けた。
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