第1章 死を運ぶ文鳥
「あぁ、あの、鳴き声を聞いたら周りの人が死ぬってやつ?知ってるけど、それがどうしたの?」
「いや……気にしないで」
忠は首をかしげた後、部屋を出ていく間際に「早く来てね」と言った。
窓を閉め、更にカーテンも閉める。
あんな噂、デタラメに決まってる…惑わされちゃだめだ。
自分にそう言い聞かせ、部屋を出た。
1日目──
翌日の昼休み。
授業、あまり集中出来なかった…。
昨日も眠れなかったし。
「はぁ……」
今日何度目のため息だろう。
「ちょっと香織。ため息つきすぎ」
「幸せ逃げてくよ」
そう言ったのは私の友達のみゆと里子。
「昨日眠れなかったんだよー」
「へぇ、何かあったの?」
「んー……別に」
「えー、気になる!」
みゆが私の肩を掴み「教えてよー」と言って揺らす。
そんなの、言えないよ…。
「そーだ、今日さ、3人でクレープ食べに行こうよ。駅前の、この前オープンした」
里子が私からみゆを引き剥がし言う。
「あー、いいね!行こう!」
私も頷き、今日の放課後行くことなった。
放課後。
駅前で、無事クレープを買い、3人で食べていた。
「美味しいー!」
うん、美味しい。
凄く好きな味だ。
今度透と来ようかな。
そんな事を思いながら食べていると、突然里子が「あっ!」と声を上げた。
「どうしたの?里子」
「お母さんにお使い頼まれてたの忘れてた。ごめん私帰るね!」
急いでクレープを食べた里子は手を振って走り去った。
「また、用事のない時に来なきゃね」
みゆがそう言って、最後の一口を口に放り込む。
「そうだね」
私も食べ終え、立ち上がる。
「よし、香織。おかわりするぞ!」
「えぇ!?まだ食べるの!?」
手を引っ張られ、列の最後尾に並ぶ。
この子、どれだけ食べるの…。
逆に感心しちゃうよ。
それからクレープを2つ食べたみゆは本当に凄いと思った。