第1章 死を運ぶ文鳥
目覚まし時計の音がして、ガバッと起き上がった。
ここは…私の部屋。
どういうこと。
家は、燃えた筈なのに…。
それに、私は公園にいた。
高広さんと一緒に。
「香織、早く起きないと学校遅刻するわよー」
お母さんの声がした。
嘘…お母さんは死んだ筈。
枕元に置いてあった携帯の電源をつけ、日付を確認する。
この日付、家が火事になった日だ。
私は、慌ただしくリビングへと向かった。
リビングに入ると、お父さんお母さん、忠の姿があり、驚きを隠せない。
「おはよう、香織」
「何してるの。早く食べちゃいなさいよ」
あぁ、これは…。
「姉ちゃん?」
いつもの、日常だ。
泣きそうになるのを堪え、いつもの様に椅子に座り、家族でご飯を食べた。
学校に行くと、みゆと里子、更に透の姿もあって、皆生き返ったのだと、安心して、嬉しくて、今度こそ泣いてしまった。
そこで私は、彼の言葉を思い出した。
『君たちは助かるよ』
早く、会いたい。
会ってお礼がしたい。
高広さんに早く会いたい…。