第1章 死を運ぶ文鳥
7日目──
目を開けると、真っ青な空が映った。
体を起こし、辺りを見渡す。
ここは……公園?
私はベンチに寝ており、体には、高広さんのモノと思われるパーカーがかけられていた。
「あ、起きた?」
何処からか戻ってきた高広さんが、私を見て言った。
そして、ペットボトルの水を手渡す。
「……飲むといい」
私は、首を横に振った。
今は、何も口に入れたくない。
「……忠は…死んだんですか」
静かに、そう呟いた。
高広さんは目を伏せ、小さく頷く。
「……嘘つき。私たちを守るって言ったのに、どうして忠を見捨てたんですか」
高広さんを下から睨み上げる。
「まだ助かったかも知れないのに、どうして……」
「香織ちゃん…」
「触らないで!」
私の肩に触れようとしていた手を振り払った。
「高広さんの嘘つき、嘘つき、嘘つき嘘つき嘘つき!」
力の限り、そう叫んだ。
高広さんは、ただ黙って、聞いていた。
どうして怒らないの。
こんなのただの八つ当たりなのに。
顔を上げ、高広さんの顔を見る。
辛そうに、唇を噛んでいた。
あぁ、高広さんも、辛いんだ。
悲しいんだ。
高広も守れなかったことを、後悔してる。
私だって、皆を守るって約束したのに…。
その時、バサバサと音を立て、正面の街灯に何かが降り立った。