第1章 死を運ぶ文鳥
6日目──
放心状態の私と、考え事をしている忠。
家のリビングで、私たちは昨日ずっと話し合いをしていた。
これからどうするか。
結局、いい答えは出なかった。
どうしたら、いいのだろうか。
それすらも、もう考えられない。
その時、チャイムが鳴り響いた。
「……」
忠が黙って立ち上がり、玄関へと向かう。
やって来たのは、隣人の高広さんだった。
「2人とも、ご飯食べたかい?」
「いえ……まだです」
珍しく暗い声の忠。
高広さんは、作り過ぎたからと言って、タッパーを取り出した。
そこには肉じゃがが入っていて、とても美味しそうで、今まで全く無かった食欲が出てきた。
「食べるといいよ。あ、割り箸も用意してあるから」
高広さんはそう言って、割り箸を手渡してくれた。
「……いただきます」
「いただきます」
そう呟き、じゃがいもを口に入れる。
美味しい…。
凄く、凄く美味しい。
自然と、涙が溢れてきた。
「高広さん、俺たちの身に、何が起こってると思いますか」
突然、忠がそんなことを言った。
「忠?」
「ここは、言っておいた方がいいと思う。高広さんにも、協力してもらおう」
少しの抵抗はあったが、忠の提案に乗ることにした。
そして、今まであったことを、全て話した。
高広さんも透と同じ様に、真剣な表情で話を聞いていた。
でも何だが、半信半疑の様子だ。
やはり、信じてもらえないだろうか。
「そっか…。あの噂は本当だったんだね」
高広さんは、ポツリと呟いた。
「信じるよ。君たちのことは、俺が守る」