第1章 死を運ぶ文鳥
「透くんとは、最近どうなの?まぁどうせ、言うまでもなくラブラブなんだろうね」
何故、突然そんなことを聞く。
困惑している私を他所に、みゆは言葉を続けた。
「いつも思うんだ。2人が楽しそうに話してるのを見ると、何で透くんの隣に居るのが私じゃないんだろって…。いつもいつも、何であんたなんだって、思ってた」
まさかみゆ、透のこと…。
みゆは私を睨みつけた。
「香織、あんた黒い文鳥の鳴き声、聞いたんでしょ」
ドキリとした。
私はうつ向き、拳を握る。
「やっぱりね。だからこんな連続で、あんたの周りの人が死んだんだ」
みゆは私に近付き、手を掴んだ。
そして強引に引っ張って行く。
「このままだったら、私も透も死んでしまう。そこで考えたんだ」
屋上の縁まで私を連れて行き、立ち止まる。
「鳴き声を聞いた本人が死ねば、もう誰も死なないんじゃないかって」
そしてみゆは振り向き、いつもの様に笑顔を向けた。
「香織、死んで」