第1章 死を運ぶ文鳥
学校に着き、裏門から校舎内に入る。
みゆに電話をすると、直ぐに出た。
「もしもし、みゆ、今何処に…?」
「屋上。早く来て」
そう言われ、通話が切れた。
事件に巻き込まれてる感じではなかったな。
階段を駆け上がり、屋上へと向かう。
その途中、幸いにも先生や生徒に会うこともなかった。
元々人気もないし、屋上は危険だからと誰も近寄らない。
何故なら、屋上の周りにフェンスなどの柵がしていないからだ。
だったら立ち入り禁止にすればいいのにと思う。
だけど、屋上を特等席としている輩もちらほらいる。
例えば、みゆとか…。
彼女いわく、あそこは思い出の場所らしい。
何があったかは、教えてくれないが、大切な思い出だということは分かる。
だって屋上に行く度に、幸せそうな顔をするから…。
いつの間にか屋上についていた。
上がった息を整え、目の前のドアを開け放った。
ぶわっと、嫌な風が頬を撫でる。
それに不快感を感じながらも、屋上に出てみゆの姿を探した。
彼女の後ろ姿を見つけ、駆け寄る。
「みゆ!」
みゆがゆっくりと振り向き、私に冷たい目を向けた。
「!」
何だか、いつものみゆじゃない…。
「香織、お父さんとお母さんのこと、残念だったね」
そう、感情のない声で言った。
「……みゆ、どうかしたの?普段のみゆはそんなこと言わない」
強い口調で言うと、みゆはフッと笑い、さっきよりも冷たい目で、私を見据えた。