第3章 蜀に行きましょう。
「それでは、宿にご案内します。」
静さんが手を伸ばした瞬間
辺りが光に包まれて
その場から姿が消えた。
何事もなかったかのように。
目を開けば、木々に囲まれた中に
宿のような建物があった。
移動したのだろうか。
「神界の手前にある宿だね〜
だからここは、人間界と
神界の間ってところかなー?」
「そんな所があったんだね。」
「いや、作ったんだ・・・。」
「えぇ?」
サラッと言ったけれど
結構な爆弾発言だ。
作ったといいましたよこの方。
「言ったでしょう?
優希が望むなら、と。私達は
何でもして差し上げますよ?」
くすりと、綺麗な笑みを浮かべ
私の頭を優しくなでた。
顔に熱が集まる。
なんて言葉をサラリと・・・
「優希殿に対するその忠義
素晴らしいですね。」
趙雲さんが、微笑み静を見る。
静はさん、服の裾で口元を隠し笑う。
様になるその姿に見惚れた。
「貴方達が劉備殿に誓う
忠義と一緒ですよ。」
「えー?でもそれだけじゃ
ないでしょ?」
「・・・そうだな。」
「それだけじゃない、とは?」
「大切な人の望みなら
何でも叶えてあげたいって
事だよ〜馬超さん♪」
ニコリ、可愛い笑みを浮かべ
ぼそりと何かを呟いた雷さん。
私には聞こえなくて
首を傾げる。
馬超さんが何故か
目を丸くしていた。