第1章 新入部員たち
火曜、水曜と時間は過ぎて行き
───木曜午前5時30分
私とスガさんの目の前で
影山がボールを打っては日向が拾い打っては拾いの繰り返しがなされていた。
田「え…コレどのくらいやってんスか」
いつの間にか来ていた田中が口を開く。
菅「俺と佐倉が来てからは15分経ってる」
『しかも、連続で……』
田「ゲッ」
息も絶え絶えで必死にボールを繋いでいる。
圧倒的運動センスを持っている日向だからこそ出来ることだろう。
でも、流石の日向もそろそろ………
影「そろそろ限界だろ!
もうこのくらいで…」
日「まだっ ボールッ…!!ゼェッ ふぐっ
落としてない!!ハァッ」
日向はそう強く言い切った。
バシッ
力強い音が鳴ったと思ったら影山が思いっきりボールを日向の後方に飛ばした。
田「うわっ影山性格悪っ」
『あんなボールとれるかっ!』
影山自身もやってしまったという顔をしている。
ふと、スガさんが口を開く。
菅「…日向の運動能力…中学ん時から凄いよな
…でもそれとは別に日向には"勝利にしがみつく力"がある気がする」
…恵まれた体格…優れた身体能力…
そういうのとは別の武器。
〈苦しい。もう止まってしまいたい。〉
そう思った瞬間からの、一歩。
ダンっと力強く踏み込んだ日向は
そのままボールに滑り込みなんとかボールを返した。
田「!!上がったっ…!!
スゲーぞ日向ァ!」
『ナイスガッツ日向!!!!』
影山に帰っていくボールを目で追うとその先で
影山がトスを上げる姿勢を取り、
そして……
フワッ
影山がトスを上げた。