第1章 新入部員たち
田「!?トス!?」
菅「影山がトスを上げた…!?」
『でも、日向にスパイク打つ気力なんて……』
日「───!!」
トスが上がったのに気づいた日向はキラキラとそんな効果音がしそうなくらいの笑顔を浮かべていた。
そして…
ドパッ
持ち前の跳躍力で跳びスパイクを打ち切った。
菅「相変わらずよく跳ぶなぁ〜!」
田「あんな状態から打ちやがった…」
『しかも、あんな嬉しそうに』
私たちは心なしか引いている。
菅「──…セッターからのトスが上がるっていう…
俺達にはごく普通のことが日向にとっては特別のことなんだろうな」
((…?
…………あ、そうか))
日向は中学の時
3年になるまでセッターどころか部員も居なかったそうで、
他の部の友達や引退後は後輩、ママさんバレーの人、女子のセッターに上げてもらっていたらしい。
でも、どんなに仲が良くて"友達"でも
本当の"チームメイト"になれるわけじゃなかった…
そういうことがあったから
セッターからのトスといのは日向にとって特別なものなんだ。
日「ゲェッホ ゲホ!オェッ
ゼェゼェ」
床に膝をつき苦しんでいる日向の下に
影山が近づいていき口を開いた。
影「…おい。
土曜日、勝つぞ」
((!?影山が少し成長…した?))
日向と影山を見て
スガさんのあの言葉が思い浮かぶ。
───"最強の敵"だったなら今度は"最強の味方"。
日「あっゼェ あたっ当たり前どぅあオェェッ」
『うぁぁ!日向が吐いたぁ!!!』
菅「み、水っ!!!後、拭くもん!!!!」
田「うすッ!!
影山!てめぇも手伝え!!!」
影「…!はい」
飛べない烏がもう一度羽ばたく日が
近づいた気がした。