第3章 01
「…金なんて渡さないに決まってるでしょ、私と一緒に帰ることにどれだけの価値があると思ってんのよ」
「おーおー、随分とプライドがたっけぇみてーだな。こっちはそんなんどうでもいいんだよ」
「そもそも何であんたなんかと一緒に帰らなきゃいけないわけ」
「知らねぇよ、そこにいるお前の親戚に聞けよ」
「…親睦深める。でええやろ?」
「人の話聞いてた?」
翔一の答えにムカついて舌打ちをすると「別にええやろー後輩同士が仲良くなることは良いことなんやから」と言って笑い出し、同じく花宮センパイも舌打ちをしていた
だがしかし翔一は発言を撤回する様子は無く、こちらが肯定を示すまで何もしないようでコイツの眼鏡かち割ってやろうかと考えた
「はぁ…仕方ねぇな、お前家どっち方向だ」
「は?オレンジのコンビニの近く」
「…いいだろ、仕方ねぇから送ってやるよ。途中までな」
「花宮ありがとうなー、これでワシも安心して夜寝れるわ~」
「んなコト思ってないでしょ馬鹿にしてんの」
睨みつけると「またそんなに睨むとシワが寄るで~」と彼はケラケラと笑い出し、なおのこと私の怒りをさらに沸き上がらせ、そろそろ蹴りを入れてやろうかと考えた
しかしそんなことを考えていると花宮センパイが荷物を持って「ほら、帰んぞ」と言って私の荷物を持って歩き始めて部屋を出て行った
「それじゃあ今吉サン、また明日…覚えてろよ」
「翔一、今度同じことしたら覚悟しときなさいよ」
「はいはいまたのお前ら~」
そう言って手を振る翔一を見ながらドアを思いきっり強く閉めるとムカつく彼の姿は何も見えなくなり、少し怒りが収まった
その帰り道、花宮センパイとの間に会話があったか否かと聞かれれば、否であった