第5章 03
部活の時間、どこから仕入れたのか知らないが部員から大丈夫だったか心配された
そして花宮と付き合っているという噂はまだ回っていないらしい
変に騒がれることがなくて良かったと思いながらいつもより優しい選手たちに見守られマネージャー業務を終える
「花宮、のこと送ったって、カ、レ、シなんやから」
彼氏をそこまで強調する必要はあるんだろうかと思いながら、余計なこと言ってんな翔一に笑顔を向ける
ざわつく周りに面倒くさいと否定しても信憑性がないかと違う手に出る
「助けてもらっただけだってば〜もう…」
「さんが…花宮の彼女…」
「オレ…ショックで立ち直れない…」
悲しみに暮れている選手たちは置いて眉毛は体育館を出て行った。帰り道は相変わらず無言
無事家に辿り着くと形式的なお礼だけ告げたが、返事もせず帰ろうとする彼のブレザーの裾を掴む
「花宮センパイ」
「ああ?」
呼び止めるとは花宮は振り返ってこちらを見る
別に大したことじゃないのだがなんだか顔を見れなくて、何にもない方向に視線を向けた
「…助けてくれて、ありがとうございました」
柄にもなく猫をかぶってもない状況のお礼なので、なんだか恥ずかしくて耳まで熱くなる
彼がどんな顔をしているのかは知らないがお礼は言ったんだからもういいだろう。手を離した
「アイツ、サトリに言われたときからお前のことつけてたんだよ」
「…へ」
「ただ、助けたのは気が向いたからに決まってんだろバァカ」
「…はぁ?あれで株あがったんだから感謝しなさいよ」
「テメェこそ助けられたんだから感謝しろよな」
「さっきのお礼聞こえなかったの?耳遠くて大変ですね」
聞こえてるのかわからないが、彼は早足で来た道を帰って行く
だから翔一は花宮に渡辺送るよう指示していたのかと、珍しく気が付かなかった事実に感謝をしなくもない
あっという間に見えなくなった彼の姿を確認し、自宅に戻った