第3章 01
彼に1つ1つ丁寧に教えてもらい、人が居ない所に来ると周りを確認していると、「どう?何か分からないところあった?」と彼は確認をしてきた
それに好都合だと「はい」と返事をすると、彼はめんどくせえと言うような表情をしながら何かを聞いてきた
「もしかして花宮先輩って、翔一が2年生なのに主将になったのと関係あります?」
「…いくら親戚だからって先輩にはちゃんと敬意を見せないと怒られるよ?」
「花宮先輩のこと、翔一から聞いてるんで」
「今吉先輩から?いやぁ、照れるな」
コイツの反応めんどくせえな、と思いながら彼の目から何かを読み取ろうとするが何だろう、読み切れない
すると彼は私の事を見て「はっ」と鼻で笑ってから大声で笑いだし、私は顔をしかめた
「頭悪い女かと思ったらそこそこやるじゃねぇか、褒めてやるよ」
「…それが本性?」
「おいおい先輩には敬語つかえっつったばっかだろーが」
歪んだ彼の表情を見ると謎の感情が湧き出てきて、「フン」と言ってから近くの腕、足を組んで段に座ると目の前の彼の表情が少し変わった
「うっさい、アンタに敬意なんかあるわけないでしょ」
「はっ、それがお前の本性か」
「何よ、悪い?」
「誰が悪いなんてつったんだよ、むしろイイ性格だろ」
「…アンタもね、真なんて名前に合ってないとっても良い性格じゃない」
腹の探り合い。まさにそんなやり取りをしていると彼は「あのサトリの思惑通りかよ」と呟き、翔一のことだと理解した私は彼が「言った通りやろ?」と言うのを想像出来て、イラッとした
私と彼の間に桜が舞うと、うっとおしさから同じタイミングで舌打ちを打った
「…おい、戻んぞ。サッカー部がこっち見てる」
「はぁ、めんどくさ」
冷たいコンクリートに手をついて、立ち上がりスカートのホコリを払っていると彼は私のことを待っているのか貧乏ゆすりをしながら「早くしろ」と催促をしてきた
こっちはこっちのペースがあんのよ、と怒りかけたがまあ運動部のマネージャーになるのだ仕方ない。そうだ
そう思いながら体育館へ向かう際に外した猫を元に戻すようにと、ゆっくりとスイッチをONにした