第5章 03
練習試合の日、予想はしていたが相手チームは私が現れた瞬間に声を上げる
それ以外の面白い反応はないのかと考えながら、ユニフォームやドリンクの用意をしていると遠巻きに見つめる彼らから声が聞こえる
「相手チームのマネすっげえかわいい…」
「いいなあマネージャー…」
「彼氏いんのかな」
「連絡先聞きに行こうかな」
試合どころじゃない彼らの様子に内心笑ってしまう。アップすら身に入らない彼らが勝てるのか楽しみである
それはさておき自分のことでもないのに「どうだ?うらやましいだろう」と言いたげな顔をしている彼らは一体何を誇っているのか
「、記録頼むで」
「任せてください!みんなのことちゃんと見てます!」
「応援してくれる?」
「自分のチーム応援しなくてどうするんですか?」
今日のスタメンの先輩は「そうだよね~」とデレデレしている。そんなだらしない顔を晒すなら相手チームにちゃんと勝利してほしい
出来るならぼこぼこに。と思っていると、ユニフォームを着る眉毛が視界に入る
「花宮先輩、スタメンですか?」
「前半戦だけ。今吉主将から直々に言われちゃってさ」
「なんや今吉主将なんて今まで呼んだことないやろ」
「たまにはいいじゃないですか」
「私も呼ぼうかな、今吉主将」
「は気持ち悪いからやめてや」
「ひどい!」
和気あいあい話していると翔一が手を叩き雰囲気を変える。そうすると監督がこれから行う練習試合の試合運びについて話を始めた
結局試合は大勝利だった。多分あの眉毛から翔一に変わらなくても余裕で勝てただろうと思えるくらいの点差を付けた