第5章 03
「ってことがあって」
「なんや、モテないワシに自慢話か」
「ストレス発散」
「最近ワシのことストレス発散に使いすぎやないか?」
週末行われる練習試合の段取り確認のため、翔一と2人部室にこもる
先日もあったが、こうして2人で消えることはよくある。従兄弟であることや主将とマネージャーというポジション。別にいなくなっても理由はいくらでも作ることはできる
都合のいいものは使ったほうが得だ
「そのポエム野郎は大丈夫なんか」
「さあ?送りつけて自己満足なんじゃないの」
「それで済めばいいけどなあ」
手を出してくる可能性があるというのだろうか
手紙に自分の名前も書かない意気地なし男にそんなものあるわけないと高を括りながら気が済んだ私は立ち上がる
「じゃあ週末、練習試合頼むで」
「スコアとかつければいいんでしょ。まかせてよ」
「あと、当分花宮と一緒に帰り」
「…なんであいつと」
「かっわいい妹分が心配に決まっとるやろー」
「別に帰るくらい「いいから、言うことききや」」
昔からたまにあるこのふざけてない翔一の圧力には逆らうことが出来ない
腑に落ちないが、言うことを聞いておいた方がいいだろうと黙ってうなずくと彼はいつもの調子に戻つた。むしろこちらは調子を崩されたが表に出さないようにしまた部室を出る
帰りアイツと一緒かと憂鬱な気分になりながら体育館へと足を進めた