第5章 03
翌朝、教室に着くとクラスメイトから手紙を渡される
「ちゃん、これ野球部の先輩から」
「…なぁに?これ」
「わかんない。預かった」
直接渡しに来い腰抜けと思いながら「なんだろー」と手紙の封を開ける
中身は今度一緒にお出かけしませんかという内容だったが、渡すのを誰かに頼んでいる奴にそんな権利があるわけない。手紙を一通り読んで封筒に戻す
「ごめんなさいって返してもらえる?」
「ええ!先輩イケメンだよ!?」
「会ったことないし、大丈夫」
名前を見てもピンとこない。この手紙を書いた人は自分が有名だと思っているのだろうか、私ほど有名でもないくせに
目の前のクラスメイトは「もったいない!」と騒いでいるが心底どうでもいい
「今部活が楽しいから、本当に大丈夫」
そういえばしょうがないと思ったのか黙り込み手紙を受け取る。そう、それでいい
「ほら、もうHR始まるから先生来ちゃうよ!」
「やばいまた怒られるー!」
こうして始まってしまえば誰とも話す必要はない。眠らないよう気をつけながら授業を受けた
昼休みは変わらずどこの部活の誰がカッコいいとか、初めての中間テストが嫌だとか全くなんの役にも立たない会話をする
話好きな子に相槌と笑顔を振りまいて、午後の授業を受けるそんな日々が続いた