第5章 03
「良く考えてみー、花宮は全国模試上位で運動も出来る
まだ2年やけどワシよりバスケのセンスはあると思うわ」
「…だからなに」
「しかも生徒だけでなく先生からの信頼も厚い
おー、なんか言ってたらどっかで聞いてきた気するわ」
「へー誰だろ」
「に決まっとんやろ」
分かっていて話題を逸らしたのにこちらが話を終わらしたいのを悟っているのかわざわざ答えを言ってくる
そもそも誰がアイツにばらしたせいかと、犯人を見ながらもう一度彼のあのムカつき踏み潰したくなるような顔面を思い浮かべる
「どーせ付き合ったやつがスクールカースト上がるのが気に食わんとか思っとんやろ
花宮なら既にスクールカースト最上位と言ってもええんとちゃうか」
「…」
「し、か、も、猫被らんくてもええんやで?どや?」
確かにこちらの言っている条件には合っているが、そういう問題ではない
「翔一は私と花宮センパイくっつけたいみたいだけど、アイツと付き合うデメリットの方が多すぎるから」
「男寄り付かんくなると思うけどなぁ」
「私、ふられた男が絶望した顔も、その後よそよそしくする様子を見るのも好きだから」
「ホンマどこでそんな性格になってしまったんや…」
「さぁ?生まれつきじゃない?」
彼にはもったいないくらいの笑みを浮かべて部室をでていく
体育館までの道のりですれ違った何人かと目が合ったので笑いかけると、相手はそれぞれ違った反応を見せる
ああ、なんて扱いやすい人たちなんだろうと思いながら何食わぬ顔で体育館に戻った