第1章 ラブシーン 前編
「え……?」
「なんかわたし、ナオが遠くに行っちゃったような気がして、そういうふうに思わないようにしてたけど、でも……」
私の言葉にナオは顔を上げ、私をじっと見つめた。
「ホントに?」
「うん……」
急に恥ずかしくなってうつむいた私を、ナオはそっと抱き寄せた。
あたたかいナオの身体を感じると、自分の身体も少し熱くなっていく気がする。
「ユウちゃん」
ナオは私にそっと声をかける。
「うん?」
私はちょっとだけ上を向く。
とてもナオと目を合わせられない。
「キスしてもいい?」
「……いいよ」
ナオが私の頬に触れる。
私はナオの目をそっと見上げた。
ナオも私の目をじっと見つめる。
恥ずかしくて、耐えられなくて目をふせると、唇がそっと合わさる。
思わず息が止まる。
やわらかい……んだなぁ……。
唇がゆっくりと離れる。
はぁ、ちょっと緊張した。