第8章 *年下の可愛い彼女【実渕玲央】*
「ハァ……」
「どうしたんだい?玲央」
「あら征ちゃん……」
そして見事にモヤモヤする毎日を送っている私。
とある日の練習後、小さく吐いた溜め息が征ちゃんの耳に届いてしまったみたい。
しかしお年頃の男が考えるような悩みを……果たして征ちゃんに言ってもいいのかしら。
いや、待って。征ちゃんも十分お年頃の……筈。
彼も同じ高校生。かなり年上に感じるけど、本当は私より下なのよね。
「悩みがあるのよ。デリケートな悩み」
「との事かい?」
「もう……何でも分かっちゃうのね」
「ここに来る前相談されてね」
「え、あの子に?なんて言われたのよ!」
「似たようなものだな」
似たようなものって……え!
ちゃんも私に近付きたいと思ってくれてるって事かしら。
そう考えていいのよね征ちゃん!
やだわ……顔がニヤけそうよ。
「玲央、お前なら優しく出来るだろう?」
「勿論よ。女の子は乱暴に扱っちゃいけないもの」
「〝女の子〟……かい?」
「やーね、ちゃんよ」
「ならばいい」
そうよね。
私が自分を見失わなければ大丈夫よ。
ちゃんにならどこまでも優しくするわ。
「玲央せんぱーい!帰りましょう!」
「そうね。行きましょう」