第8章 *年下の可愛い彼女【実渕玲央】*
「って、本当に舞い上がってるんですか?見えないですよ」
「あら、これでもテンション高いわよ…?」
「ひっ…!」
そんな私はある日、ちゃんのお家にお邪魔したの。
彼女が「気分上々とか嘘ですよね?」って雰囲気で笑うものだから、少しだけ側に近寄ったのよ。
そうしたら……後退りされちゃったわ。
「貴女もしかして……」
「ご、ごめんなさい…!私彼氏とか初めてで……」
理由はこれね。
私が初彼だったの。
あの真っ直ぐだけど不器用な告白の仕方……
想いを伝えるのも初めてだったから混乱しちゃっていたのね。納得いったわ。
「そう……でも大丈夫よ。キスは唇を合わせるだけだから」
「えっ?!キスするんですか?!」
「そのために近寄ったのよ?貴女とそうしたいわ、私……」
ギュッと目を閉じて、私からのキスを固くなりながら待つちゃんを見て……
まだダメね。と思ってやめておいたわ。
純粋で可愛いけど、私が初めてで嬉しいけど、
この先暫く堪えなきゃいけない日々が続くんだと思うと……もう既にしんどいわ。
「しないんですか…?」
「やっぱりもう少し後に取っておきましょう?まだ付き合って日が浅いものね」
「あの……ごめんなさい……」
「いいのよ。ゆっくり進んでいきましょ」
「は、はい……」