第5章 *新婚旅行【赤司征十郎】*
『ふふんっ』
食事中、はこう言いながら終始目尻を下げていた。
どれもこれも口に合ったようで、本当に美味しそうに食べていた彼女の姿を思い出し……
「フッ……」
コテージのテラスで湯上りのお酒をいただきながら、オレはつい口角を上げてしまった。
「どうしたの?酔っちゃった…?」
「いや……お前は本当に可愛い女性だなと思っていた」
「な、なんなのいきなり……」
「そんなお前を妻に迎える事が出来たオレは幸せ者だな」
そう言いながらオレは手を伸ばし、の髪を梳いた。
先程お風呂から上がったばかりだからか、シャンプーの良い香りが直ぐに鼻を擽る。
そんなオレの行動に「やだもう……」と、は照れて顔を背けるのだが……
「余所見してはダメだろう…?」
オレはやんわりと顔を自分に向けさせ、そしてそっと唇を重ねた。
「もう……やっぱり酔ってる…?」
「オレが酒に飲まれた所を一度でも見た事があるかい?」
「……ない」
「自ら言うのもおかしいが、オレは強いよ」
「だね……」
「けど今は違うものに酔っているようだ」
「え……違うものって何…?」
「知りたいかい?」
「う、うん……教えて…?」
「それはお前だよ、……」