第5章 *新婚旅行【赤司征十郎】*
「うぅっ……」
の手を引いて、予約してあったお店に来たはいいのだが……何故かが戸惑っている。
夕と夜の間とも言える絶妙な暗さ。
そしてテーブルにはキャンドルが揺れていてムードは文句無し。
なのにずっと辺りをキョロキョロしていて縮こまっている。
「どうした?落ち着きがないね」
「だって…!私こんな適当な服で大丈夫…?!」
「心配はいらない。オレだってカジュアルだろう?」
「でも……」
「そう固くなるな。ここは高級レストランじゃないからね」
「周りを見てごらん」と、自分だけが正装じゃない事を教えてあげる。
すると安心したのか、急に笑顔になった。
「どんな料理かな?」なんて言ってワクワクしているようだ。
「フレンチだよ」
「フレ…!」
「ああ違うんだ。さっき言った通り高級店ではないからね、マナーはそこまで追求されない」
「マ、マナー……」
「もしここがマナー厳守だとしても、オレの父と何度も会食しているお前なら大丈夫だ」
「あ……」
「父も言っていただろう?素晴らしいと。それを自信に繋げても誰も文句は言わない」
「そ、そうだよね…!」
「ああ。どうやら料理が来たようだね。いただこうか」
「うん…!」