第5章 *新婚旅行【赤司征十郎】*
なんて楽しんだ後、クルージングを兼ねて船に乗り込み、お目当ての宿泊施設へと向かった。
幾ら進んでも尚美しい海に、だけじゃなくオレまでもが魅入られる。
けどそのうち横から熱い眼差しを感じるようになった。
直ぐにのものだと分かったオレは、あえて視線を向けずに口を開く。
「海を見なくていいのかい?楽しみにしていただろう」
「えっ!見てるよ…!」
「さっきから視線を感じてね。余程オレの事が好きなようだな」
「だっ……て、かっこいいんだもん……。風に吹かれてる征十郎さん……反則だよ」
「お前の眼差しの方が充分反則だと思うよ。オレの胸を高鳴らせるのが上手い」
「本当…?」
隠してどうする。
とは交際期間を含めて、もう何年も一緒にいるが……常に胸は忙しない。
忙しく働き過ぎて、別れた後はいつも寂しく思っていた。
が近くに居ないと一気に落ち着きを取り戻して、辺りが静かになるからだ。
「まだ帰したくない」って……今まで何回後ろから包み込んだだろうか。
「信じていないのか?」
「いや、そういうわけじゃ……」
「まあいいだろう。夜に分かるよ」
「夜…?どうして…?」
「そこまでオレに言わせるのかい…?」
「えっ……あ…!」
「フッ……それに比べてお前は直ぐ顔に出るな」