第5章 *新婚旅行【赤司征十郎】*
「っ〜!!」
「どうした?随分と震えて、」
「はははっ!海ー!」
「!……全く、余程嬉しいようだな」
約50分のフライトの後真っ先に海岸へとやって来たオレ達。
目の前にはエメラルドグリーンのグラデーション広がっている。
そして透明度が高く、海底は肉眼でも良く見えた。
そのあまりにも綺麗な海に感動してか、はオレとの腕組みを解いて走り出したというわけだ。
「もう足を浸けているのかい?」
「だって…!ウズウズしちゃって!」
「気持ちいいだろう。今は気候も丁度良い」
「うん!だから征十郎さんも!」
「そうだな……そうしようか」
「やったぁ!早く早く!」
「分かっているよ」
と、裸足になる前にオレは鞄から一眼レフカメラを取り出した。
「早く!」なんて人を急かしておきながら、はまた海に夢中になっている。
瞳を輝かせて、表情が緩みっ放しの妻の顔にピントを合わせ……オレは黙ってシャッターを押した。
「ん?あっ!今何を撮ったの…?!」
「なんだろうね。とても綺麗で可愛いもの……と言っておくよ」
「っ……貸して…!私も撮ってあげる」
「お前にはデジカメの方がいい」
「じゃあデジカメ…!待ってて!」
「そう慌てるな…!転んだらどうす、」
「はい!チーズ!」
「むっ」
「撮れたよほら!征十郎さんのちょっと余裕の無い顔!」
「参ったな……お前の前だとこんな情けない顔をしてしまうのか、オレは」