第2章 *同棲初夜【黒子テツヤ】*
「僕だけが広い所へ行くわけじゃありません」
「え…?親……とか?」
「違いますよ。さんです」
「えっ……」
「僕と一緒に暮らしませんか?」
僕にもプライドというのがあったので、デートの時は殆ど負担していました。
その度に申し訳なさそうにしていたさんですが、強引に入ってくる事はなかったです。
多分分かっていたんでしょう。男の立場というものを。
「本当…?」
「はい。同棲すればいつでもさんの側にいれます」
「うぅっ…!テツヤぁぁ…っ」
「クスッ、泣く程嬉しいんですか?」
「そうだよぉ…!私ずっと夢見て…っ」
「はい、知ってました」
「ええっ…!」
「さんの夢を僕が叶えてあげます。だから……」
「テツヤじゃなきゃダメなんだよ…!」
「そうですね、すみません」
でもさんと過ごせる時間の方が大切でしたので、特に苦ではありませんでした。
お金がなければ世の中何も出来ないけど……
さんとの時間は買えませんから。
勿論彼女を買う事も出来ない。
僕にとってさんは……
かけがえのない人なんです。