第4章 *初めては恥じゃない【伊月俊】*
「すみません、伊月先輩……」
「いいって。来る時何もなかった?」
「はい……」
「ここじゃなんだから場所移動しよう。着いて来て」
「はい……」
走った甲斐があって、オレはちゃんより先に到着する事が出来た。
しかし家で妄想していたものとは違う彼女のテンションに心配が募るばかりだ。
何があったんだろう。
「良かった、ここの公園ベンチあった。ちゃん座って」
「ありがとうございます……」
「で……どうした…?」
「あの……男の人って直ぐ飽きたりするものなんですか…?」
「飽きるって何に…?」
「女の子にです。特定の女の子……」
これでなんとなく分かってしまった。
ハッキリ聞いてないから断言する事は出来ないけど……
多分彼氏と何かあったんだ。
別れたか……喧嘩したか。
弱ってるちゃんを助けたい気持ちは充分ある。
でもやっぱり複雑過ぎた。
オレなら……って考えが頭をチラついてしまうから。
「えっとー……」
「すみません、質問が重いですね……」
「いやこっちこそごめん。直ぐ答えられなくて……」
「いえ……。私さっき彼氏と喧嘩したんです。あいつが私の名前を間違ったから……」
「違う子の名前で呼んだって事か…?」
「はい。しかも好きだよってくっ付けて。問いただしたら〝実は他に気になる子がいる〟って言ったんです。でも私の事も好きだから別れようとは言えない、その代わり距離を置こうって……」
「それ向こうの勝手じゃないか。酷いな……」
「もうわけわかんなくなっちゃって……もういい、別れる!って逃げて来ました。その後着信あったんで向こうはその気じゃないかもしれませんけど……」
「そっか……それで……ちゃんはどうしたい?」
「……私は……」