第3章 *オレを変えた人【原 一哉】*
「お前何言ってんの?!」
「一哉…!え、起きてたの?!」
「寝たふりだよこんなの!別れるとかオレ絶対許さないから」
飛び起きた。
もの凄い勢いでオレは飛び起きた。
だってまさかこいつから〝別れ〟なんて事言ってくるとは思ってなかったから。
それにこっちは……そうなりたくない。
「でも好きじゃないでしょ…?私なら大丈夫だから……」
「あーそれは……もー…!こうすれば分かるっしょ?こっち来て」
「わっ…!」
オレは勢い任せに彼女を腕の中に抱き込んだ。
しかし初めてを抱きしめたのがこのタイミングだとは。
追い込まれないと出来ないなんてダサい。
でもオレはが好きだから身体を包む。
嫌いでどうでもいいなら直ぐ「分かった」って別れを飲むし。
「分かってくれた?」
「え、あ、えっ……」
「まだ分かんないの?言わせる気?」
「ち、違くて……今までこんな事……」
「……の前だと緊張してダメだったんだよ。だから隠してた」
「じゃあ本当は……」
「好きだよ。すっごく」
とうとう言ってしまった。
いや……言えた。
たった二文字なのに、それを早く伝えれば全てうまくいってたのに……
こんなにも遅くなってしまった。
ごめんって言いたいのはオレの方だ。
「キスしていい…?」
「キ、キス…?でも……」
「ここで渋るとか勘弁してほしいんですけどー……」
「あっ、ごめん…!んっ」
「いや、口突き出さなくても……まーいいや、そのままジッとしててね」
今オレは凄く優しい気持ちになれてる。
だからにするキスも……とても穏やか。
こいつと唇が引かれ合った事で身体がムズムズしてしょうがないのに、
微塵も荒くならない。