第3章 *オレを変えた人【原 一哉】*
「ったく……で、なんで居るのー?」
「ごめん……」
つんのめっての前に来ちゃったオレ。
何も話さないと気まずいからとりあえず聞いてみた。
ザキはもう姿見えない。遥か彼方。
ごめんって言われて、「謝るくらいなら待ってないでよ」と返したくなるけど……
まだ何か言いたそうにしてるから飲み込んであげた。
「い、一緒に帰ろ…?」
「やだよ、お前んち確か遠いじゃん」
そう言葉にして、ハッ!しまった!と思った。
これじゃ「送って行く」と言ってるようなもん。
はビックリしたのか、目を点にしてオレを見つめてる。
お願いだからこっちを見ないでよ!
こんなに近かったら顔赤いのバレんじゃん!
けどオレは手で口元覆ってしまえば顔を隠せる。
前髪切らないで良かったと心底そう思った。
「送らなくていいから……ダメ…?」
「てか家逆でしょ」
「あ……じゃ、じゃあ一哉んちに行っても、」
「ダメ!それはマジやめて!これ以上オレを……」
〝ドキドキさせないで欲しい〟
またもや喉の奥へと消えた一言。
口から出したら……オレらは仲良しになれるんだろうか。
普通の恋人みたいに。
「オレを……何…?」
「別にー。……来てもいいけど、ちょっと歩くよ?」
「大丈夫…!ありがとうっ!」
「っ……ほら置いてっちゃうよー」
「うん!」