第11章 *温泉旅行で【氷室辰也】*
「すみません、大人2枚下さい」
「1枚いくらですか?」
「こら、ここはオレの役目」
「あ……すみません、ありがとうございます」
「いいよ、気にしないで」
荷物を預けて、早速温泉に浸かろうとしているオレ達。
買う前に旅館の人に聞いたら、結構混浴も多いそうだ。
でもには内緒。
慌てるところ、見たいから。
「ここ、旅館の人がオススメしてた場所みたいだ」
「じゃあ先ずはここにしましょう!」
「そうだな、行こうか」
「はい!」
想像するだけで可愛いよ。
笑いそうになるのを抑えるのが大変なくらいに。
……けど貸し切りじゃないのが不満。
色んな人にを見られてしまう。
例えお年寄りでも嫌だ。はオレのだから。
「、こっち」
「た、辰也さん!ここ混浴…!」
「そうだよ」
「聞いてないですー!」
「それより早く入った方がいいよ。寒いだろ?」
「それよりって…!もー……」
「大丈夫。オレが隠してあげるから」
「ひゃぁ…!」
お湯に入ったを後ろから包み込むオレ。
よっぽど恥ずかしいのか黙ってしまった。
でもこれで少しはシャットアウト出来る。
周りから見れば……ただのバカップルにしか見えないんだろうが。
「辰也さんっ……」
「ん…?」
「首に息かかります…!」
「近いからね。キスも出来る」
「ダメダメ…!絶対ダメ!」
「はは。しないよ、大丈夫。そんな事したら……」
「ひっ…!み、耳耳…!近い…!」
「の可愛い声が周りに聞かれちゃうからね……」