第11章 *温泉旅行で【氷室辰也】*
氷室side
「わぁ…!沢山温泉がありますね!」
「Ticket を買えば色んな場所に入り放題らしいよ」
「辰也さん、発音」
「あ、すまない。ついね」
ここは有名な温泉街。
が陽泉を卒業したお祝いみたいなもので、二人きりで旅行に来た。
初めての旅行だから、オレはかなり楽しみにしていたんだ。
「てかあんまり似合わないですね、辰也さんと温泉って」
「それ酷いな……」
「すみません、でも辰也さん綺麗だから。なんと言うか……浴衣よりバスローブ的な?」
「ああ、アメリカに居た頃はよく着てたよ」
「ほらやっぱり」
「ふふっ」っと小さく笑うこそ浴衣よりバスローブな気がする。
でもこの子はきっと何でも似合うんだ。
。オレの可愛いプリンセス。
早く浴衣姿を見たい。
「じゃあそのティケッツ……とやらを買いに行きましょう!」
「クスッ、でも先にチェックインして荷物を置こうか」
「あ、そうですね。もう時間大丈夫なんですか?てか今何時?」
「今は……」
と、自分の腕時計を見せながら、オレ達は今回予約した旅館へと向かう。
寄り添ってる側の手は自然と引かれ合い、2人の仲の良さを強調させた。
小さな事だと思うかもしれないけど……
そのちょっとした事でも、オレは幸せに感じるんだ。