第6章 過去が今に変わる
「せんせー!タチバナさんは髪ふさふさだから 先生が貰った方がいいんじゃないですかあ」
私の緊張をよそに、お調子者のクラスメイトの男の子が担任を茶化した。
「そっちのカミじゃねーよ。数学の成績下げるぞ」
横暴なことを言いながら笑う担任は凄くクラスメイト達に愛されてる。
「新年度始まりなのに引っ越し、大変だな。 なんかあったら先生のとこ相談しに来いよ」
そんな優しい言葉すらもクラスメイトにとっては格好の茶化し要因になる。
私が先生に狙われてるだとか淫行とまで言われてる。
「大切な生徒心配が何で悪い。お前らが俺の大事な恋人だ!!」
教卓で愛を叫ぶ担任に男子生徒はブーイング。
ほぼ男しかいないようなクラスで恋人発言。
「ごめん、オレ彼女居るから」と勝ち組発言から「ホモかよー」と差別発言、はたまた「恋人でいいから成績あげてください」「大学推薦下さい」と 様々な発言が飛び交う。
数えるほどもいない女の子達は笑ってるだけ。
なんかこういうの懐かしいな。私は転居届けを小さく折り畳みポケットにいれた。
SHRが終わり担任が職員室に戻ろうとドアを開けたところではっと思い出したように振り返った。
「そー言えば、化学の先生急に辞めて代わり来たから担当教員かわるぞー覚えとけー」
それは多分オーナーのことだろう。
どんな人がという質問に対し、
「見た目若いにーちゃんだけどそう若くないぞ。 女じゃなくて残念だったなヤロー共」
担任は、クラスメイトの大半ががっかりした顔をしたのを確認してから職員室へ向かっていった。