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Re:思い出

第5章 したかったこと  side M


彼女はやはりここでもミイを選ばず俺が使おうとしたスナフキンの弁当箱を取り上げた。また名前が書かれるのを防ぐため今度は素直に従った。
食事が終わるとタチバナさんはすぐに洗い物を始めた。料理はしないがそういうことはきっちりやるようだ。

俺は少し飲み足らなかったので新しいビールを開けてから明日の弁当の準備を始める。
いつかテレビで弁当のおかずの作りおきが便利だと見たことがあった。
焼く前のハンバーグ。ケチャップを使ったナポリタン。いくつかの野菜を混ぜたおひたし。今ある材料と頭の中にあるレシピではこれが限界だ。

すべて平行に作業していくとタチバナさんはこちらに興味を持ったのか洗い物を放置し色々話しかけてくる。手にはいつの間にか俺がさっき開けた缶ビール。

だらだらと話すタチバナさんの声を聞きながら作業する。紙で出来た小分けようカップを並べる。俺がテレビで見たときは海苔で出来た食べることが出来るカップやシリコンのものもあったが今というかこの時代はまだないらしい。使ってみたかったなあとか思いながらも仕方ないのでその紙カップの中におひたしとナポリタンを少しずつ入れて冷蔵庫にしまった。ハンバーグは大きいのを二つと小さめのをいくつかラップに包む。大きいのは近い内に晩御飯にするつもりだ。タチバナさんはハンバーグが好きらしく大層喜んでいた。

「中に氷入れとくと火の通りがいいって知ってた?」
自慢げに語っていたが知っていた。知らなかった振りをしたらより喜んでいた。可愛かった。


洗い物を再開したタチバナさんであったが俺が先ほど弁当のために使った調理器具は洗ってくれなかった。片付けまでが料理ということらしい。

タチバナさんは洗い物を終えるとビールを一気に飲みそのまま其れをすすぎゴミ箱に入れた。片付けはすぐにやるタイプらしいことがわかった。空いたシンク前に今度は俺が立つ。タチバナさんは冷蔵庫を開け本日ふたりあわせて4本目のビールを取り出した。本当によく飲む人だ。

「これで最後」
俺が思ってたのがわかったのか何なのかそう言ってビールを口にしていた。

洗い物が終わると喫煙欲が出てきた。やはりこの体はなにもすることがなくなるとそうなる、身体じゃなくて頭から来る喫煙欲が早い。


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