第5章 したかったこと side M
夜、外が暗くなってきた頃、玄関にダンボールが積まれていた。
今日買った荷物たちが続々と届いてきている。
服は自室になった何もない部屋のウォーキングクローゼットへ。
靴箱にはスペースがなかったが、タチバナさんのパンプスはこの2年間必要ないのでそれを片付けて、俺の靴がそこに収納するよう言われた。
「その食器、私好み」
「そう思って選びましたから」
食器や調理道具をキッチンに運ぶ。
タチバナさんは真っ白でシンプルな食器たちを手に取りよく観察してから、片付けていく。
こういうこと、あまり好きそうではないので多分機嫌がいいのだろう。
「あれ。これ、かわいい」
次に彼女が興味を惹いたのは俺が自身の趣味で選んでしまったマグカップ。
幼い頃からなぜか気になる北欧の妖精のムーミントロール。
角のように髪を逆立てて結んでいる可愛い女の子。ミイがタチバナさんに似ていたので
彼女用にと、買っておいた。
気に入ってくれると思ったが予想は外れた。どうやら、気に入らなかった様子。
俺用に買ったスノークのお嬢さんのマグカップと交換するように強制された。