第5章 したかったこと side M
彼女を長い時間待たせるわけには行かないので急いで服を買いに行く。
数セット選びそれに合わせて靴も数足買った。決断力の速さと大量過ぎる買い物に店員は驚いた様子。
普段使い用とはいえ、高校生が気軽に手を出せるブランドではなかった事に気付いたのはその表情を見てからだった。ましてや制服で来ている。見た目が子供なものだから少しは落ち着いて見えるような服をと思ったのだが、制服はないな。
試着室で購入した服に着替え、靴も履き替えた。
いくら新しい服とはいえ、制服よりは随分と馴染んだ。やっと、この店舗独特の空気にも馴染んだ気がした。買ったもののの多さに店員は自宅まで送るよう手配してくれた。先ほどまで着ていた制服一式も一緒に箱に詰められる。
住所は今朝確認したばかりだった。携帯に登録したメモを見ながら送り状に名前を書く。
あて先はタチバナアズサ様。送り主はクロサワコーキ。
自分の住所に同上と書くのが妙に照れくさかった。今日の夜には届くようだった。
カフェに戻る途中にキッチン用品が並ぶインテリアショップを見かけたのでそこに寄り最低限の調理器具と食器を買った。あの部屋に合いそうなシンプルなデザインのもの。
ついでに手動のコーヒーミルとドリッパー、ドリップポット。
最低限といったもののこれは持ち運べる量でもなく先ほど同様に買ったものを店から家へ送ることを提案されたので従った。