第4章 したかったこと
食事を終え、其のまま食器を洗っているとクロサワは缶ビール片手にキッチンでお弁当のおかずのつくりおきを作り始めた。
普段からお弁当作るのか聞いたらそうではなく、
一度TVでお弁当のおかずのつくりおきを見たことあるのでやってみたかったらしい。
私にはTVを見る習慣がなく家にもないので欲しいか訊ねた。
暇だから観てただけなので話し相手してくれるならいらないと返された。
「でもTVないと映画とかも観れないですよね?」
「じゃあ、映画見たくなったらDVD買うとかじゃなくてさ、映画館行く?」
もともと、映画館で見るほうが好きだ。
専ら一人観賞だったが、クロサワなら一緒に行っても構わないと思った。
そう誘ったら嬉しそうにしてた。その表情は完全に子供だよクロサワ君。
洗い物を終え煙草に火をつけソファでのんびりしてると料理を終え片付けまで済ませたクロサワが隣にやってきた。
煙草をくわえたのでライターを渡そうと手を伸ばす。
「そっちじゃないでしょ」
私の煙草の先にある火を自分の煙草に重ねた。
距離が近い。この姿になって初めてのそれに少し緊張した。またキス顔してるって笑われた。
クロサワの煙草を吹き出す音が大きく聞こえた。
「ねー、先輩。ちゅーしよっか」