第4章 したかったこと
今日買った、正確にはクロサワが買った荷物達が次々と届いた。
思ったより大量。
服は元々空だった彼の自室となった部屋のウォークインクローゼットに収納するよう伝えた。
靴は入りそうになかったがこれから2年間は使うことのなさそうなパンプスを段ボール箱に詰め込んだら7割程空いた。
「靴、どんだけ持ってたんすか?」
呆れ気味のクロサワに半分は捨てるつもりだったと伝える。
まあその一部はクロサワの魔法の様な技術により息を吹き返したんだけど。
「暇なとき全部直しときます」
クロサワは言いその段ボール箱を自室に運んだ。
クロサワが玄関に戻ってこないので様子を見に行くと空になった段ボール箱にローファーを入れ何かスプレーしていた。
「プラモデルの塗装?」
「は?買ってないし、こんな短時間で出来ませんよ。靴、防水してるんです」
話を聞くと革靴用の防水スプレーもあるらしくそれをすると汚れにくくなるらしい。
クロサワは賢いな。私の分も頼むと既に終わってバルコニーに出してくれたようだった。
クロサワはローファー2足と彼が今日履いていたブーツをバルコニーに綺麗に並べてリビングに戻ってきた。
あとは食器と調理機具。
基本的にシンプルなものばかりで私好みだった。
ただなんだこのマグカップ。生意気そうな顔をした女の子の絵。
「タチバナ先輩はこっち。先輩にそっくりじゃないですか?」
そう言って渡されたマグカップ。
北欧キャラで大々的に有名なカバに似たあいつらは結構というかかなり好きだ。
だが一言多い。私は彼女に似ているか?
「俺はこっちです」
可愛らしいアンクレットをつけたカバがが描かれたものをクロサワが持っていた。
「私そっちがいい」
「嫌です」
「そっちがいいの!」
無理矢理交換してやった。そして油性ペンでクロサワのマグカップになった生意気そうな女の子が描かれたカップに『コーキ』と書いてやった。
横暴だと嘆く彼を鼻で笑う。
私に喧嘩売るなんて10年早い、いやこれじゃ駄目だ、年齢的な意味で。100年早いのよ。
クロサワの所為で少しカッコ悪くなったマグカップは可哀想だが仕方ない。