第4章 したかったこと
ヤバい。アイシャドウ何色にしよう。と言うかアイラインどう引こう。
それよりもこのチークじゃちょっと老けて見えるよね。眉も。
そういえば、このときの流行ってなんだったけ…。
「ねーまだですかー?あと10分で出ますよ」
1時間も掛からないと思っていたのは間違いのようだった。普段は数十分で終わらせるメイクも気合を入れようと思ったら最後悩んだだけで時間が過ぎていた。
もういいや。適当で!!
結局私はいくつか若くなったのについ先日と同じようなメイクに落ち着いた。若干服装に合わせてみたもののやっぱりいつも通りである。
高校時代は睡眠を優先しすぎて化粧もせずに学校に行っていたけど大学入ってからは勿論社会人になってからは特にマナーと言うかそう言う意識が出来、化粧をするようになっていった。今更高校生に戻りましたよってなっても化粧しないわけにはいかない。
玄関に居るだろうクロサワの様子を見に行くと、彼は玄関先で私のパンプスを磨いていた。よほど暇なのだろう。
「化粧すると印象変わりますね。まーどっちでもタチバナ先輩はタチバナ先輩ですけどね」
何を言いたいかわからないクロサワの足元には少しばかりヒールの高い靴が一足。
多分今日はこれを履けと言うことなのだろう。靴の色を見て化粧を直したくなったが時間がないので諦めた。
「今日は買い物でしょ?ぺたんこの靴が良くない?」
「歩くの疲れたらまたおぶってあげます」
何故その靴を履かせたいのかは謎ではあったが素直に受け止めた。
この靴は見た目が気に入って買ったものの、元々ブーツやスニーカーばかり履いていたものだから慣れずにいたものだった。
でも今日の服装にはピッタリあっていると思う。だから、言う通りにした。