第3章 思わぬ出来事 side M
学年毎に教室が入れ替わる。1番上の4階が3年。それから、3階2年、2階1年そういう割り振りだった。
特進クラスの理数系は一番東隅の教室。
その教室から見えるのは各クラスの教室がある北棟と特別教室がある南棟を挟む東側の渡り廊下。
渡り廊下は各階にある。
南棟4階には物理、化学の各特別教室。この教室は特進クラスの理数系しか使わない。
担当教員が物ぐさで自分が移動したくない為お前らが来いよ。というスタンスだったからだ。
よって俺達特進理数系のクラスは他のクラスより教室を移動することが多かった。
3階というのは結構いい位置であって見上げれば4階の渡り廊下見下ろせば2階の渡り廊下が見える。
それに比べ4階は2階が全く見られない。
その渡り廊下は簡易的な造りのため最上階の4階はほぼ屋上のようで屋根はなく他の階に関しても壁は片面にしかなく風の強い日には女生徒達はスカートを押さえ小走りをしていた。
そこを眺めているのが好きだった。
これは、誤解を招く言い方だ。別にスカートを押える女生徒を見ていたわけではない。
そこから此方を見るひとりの生徒を見ていた、いや探していただけだ。
他クラス、ましてや他学年の時間割なんて知るはずもなくなんとなく渡り廊下や中庭を通る彼女を見かけることが出来たら今日は一日いいことがある。
教室から自分を見る彼女を見つけたら、もしくは校内のどこかですれ違えたらその日は超いいことがあると勝手に自分ルールを作って遊んでいた。
彼女が自身の行動をストーカー紛いといっていたが俺もストーカーだったのだろうか。
そんなつもりはなかったのだが、そうなのかもしれない。