第3章 思わぬ出来事 side M
俺は改めて自己紹介した。
タチバナさんは昨日話したいつも見ていた後輩が目の前に居る俺だと言うことにやっと気がいた様子。
彼女は驚いているようなまた、後悔しているような顔をしている。
俺は昨晩からローテーブルの上に置いたままだった自分の煙草に火をつけ大きく息を吸い込んだ。
俺がテニスをやってたことを知ってくれていたことが、自分を見ていたことが、俺の自意識過剰ではなかったことが嬉しかった。
それを伝えようとしたが、どうやらあまりいい意味で伝わらなかったようだった。
タチバナさんはヘビーと言うよりチェーンスモーカーなのだろう。
昨日も思ったが煙草の消費量が半端ない。
ローテーブルの下に転がった半分なくなったであろうカートンの袋を乱暴に破り新しい箱を取り出していた。
彼女はこの状況を随分と軽く受け止めているようで寝たら直るとか言い出していた。
そんなモンじゃないだろ。
映画や漫画では当たり前のように見たことがあっても実際起きるはずのないこの事態をうまく飲み込めない。