第2章 思わぬ出来事
落ち着こう、一旦落ち着こう。
とりあえずリビングで煙草を吸うことにした。
この際だと、昨日のジンをもう一度グラスに入れた。
どう考えても未成年に思われる二人の滑稽な姿。
「で、君がクロサワコーキだと」
「俺がクロサワコーキです」
ライターで煙草に火をつける。
このクロサワがあのクロサワと言うなら、このクロサワは昨日と違い、自分のジッポで煙草に火をつけた。
そういうこと になる。ややこしい話だけれども。
「で、私はタチバナアズサ」
「本当にタチバナ先輩ですね」
にこっと笑ったクロサワに殺意が沸く。
「タチバナ先輩だと? もうごっこ遊びはやめてくれよ」
目の前のジントニックを一気に飲み、二杯目を作る。
「でも先輩でしょ。タチバナさんは。
俺がテニスで表彰されたの覚えててくれたんですね」
は?先輩?
何を言っているかさっぱりだ。