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Re:思い出

第1章 ここから始まった


「私、制服デートとかしたかった」
私はまたあの頃を思い出してみた。
何もしないまま過ごしてきた高校生活。

「そうだ、自転車の二人乗りして先生に怒られてみたかった」
「じゃあ俺は放課後、教室で待ち合わせとかしたかった」
「私は、授業サボって特別教室で隠れて二人きりでおしゃべりとかしてみたかった」
「いいなー。俺はそのあと隠れてキスとかしてみたかった」
「じゃあ、わたしはそのあとやるわ」
「やるってSEX?なにそれ、大胆。じゃあ、俺処女相手に童貞捨てたかった」
「なにそれ、そっちこそ大胆発言じゃない。自分の過去ぶっちゃけてる」
酔った勢いもあってなんか、話の方向がとんでもない方に向かっていってた。

家に帰ってから何本目の煙草だろうか。
ライターの火を使ったのは最初の一回きりで順番に火をつけ合っていたので二人の間で当たり前になったシガーキス。
私の煙草に火を移して吸い切った煙草を灰皿に押し付けたクロサワが目の前のグラスを一気に飲み干して私の耳元にふっと息を吹きかけた。

「俺のことその後輩と思ってみれば?」

「馬鹿なこと言わないで」
聞き流そうとした私とは逆にスーツのジャケットを脱ぎ捨ててネクタイを解いたクロサワの顔は真剣だった。


「ね、タチバナ先輩」
私の頭をくしゃくしゃっと撫でた手が妙に心地よかった。
そういえばこいつとやってまた色々反応試してみようとかそういうの、思い出した。

ジントニックを一気に飲み干し、其処に入った氷を灰皿に流し込む。
そこに煙草を押し当てるとジュッっと消火された音がした。



「受けてたとうじゃない」
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