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Re:思い出

第1章 ここから始まった


なんだか、色んな話をした。

ここら辺にある仕様もないテーマパーク。最近つぶれた駅前の大きなデパート。
新幹線での時間を潰す有効な手段。喫煙者ならではのあるある。如何でもいい話ばっか。


一通り話して、時計を見るとまだ午前1時。
時計の音だけが響く数秒。先に口を開いたのはクロサワだった。

「そういえばさ、俺があの店入ったすぐ位に高校の話してたでしょ」
ふーっと煙を天井に吹きかけるみたいにしてた。

「聞いてた?」
「テニスの上手い一個下の後輩君でしょ?」
煙草の灰を灰皿に落とした彼は悪戯に笑う。

「俺もさ、あんま楽しい学生生活してこなかったから、つい聞き込んじゃった」
その言葉につい親近感が沸いてしまった。

オーナーに貰ったジンとトニックウォーターをクロサワが用意した氷の入ったグラスに流し込む。
ジンは少し大目がいい。その方が美味しいからに決まってる。
そのジントニックの入ったグラスを彼に差出し、私は自分の分を作りながら聞いていた。

「俺、恋愛とか、興味なかったしなー。勉強と部活でいっぱいいっぱいだった。
 その分大学では遊んでたけどなー」
私もそうだったけど、それはそれで遊んでいたなんてあんま言っちゃいけないことって分かってるから黙ってた。


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