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Re:思い出

第6章 過去が今に変わる


「別にクロサワとやるか分からないし」
クロサワの少し横暴な態度が妙に気に入らなくて、私は大げさにそんな事を言った。
私がやろうとしても彼の同意も必要なんだけどそういう事じゃなくて、私には他にも沢山候補がいるんですよ、っていう言い方。

二人も私の機嫌の悪さに気付いたのか、暫し沈黙が続いた。
煙草を吐き出す音と、廊下から聞こえるざわざわとした人の音。
あとは、何も聞こえなかった。

時計を眺めてあと5分くらいで教室に戻ろうと思ったところでオーナーが口を開いた。
「でさ、アズサちゃん。クラスメイトの実験体はどう? 彼ら元気にしてる?」

このタイミングでその話をするか? 私はオーナーがどんな話をしたいか想像がつく。

クラスメイト、何人かと卒業後に実験してたんだっけ。
あの名前紳士は数ある実験体のうちのひとりにすぎない。
とりあえず彼らはまだ私とそんな関係になる前だからどっちにしても意識しないように意識してたけど。

「此処来て直ぐには避けたかったんだけど、名前紳士とは接触した」

懐かしいと笑うオーナーはスーツに白衣を着ているはずなのにギャルソン姿に見えた。
バーにいたあの悪戯に笑いながら私のどうでもいい話を聞く姿に。

一方クロサワは話についていけないのが不満なのか外を見て紫煙を揺らすだけ。
その後もあまり言葉を発する事はなく静かに教室へ戻っていった。
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