第2章 おかえり。
「む~……だって~ハルくんが目逸らすんだもんっ!」
そう言いながら悠は真琴に抱きつくと、身長の高い彼を見上げた。
真琴はそんな悠の頭を撫でながら、笑顔で自分の腕の中にいる彼女を見つめ返した。
真琴「…おかえり、悠。……ハルも久々の悠との再会だから照れてるんだよ。だから、苛めないであげて?」
「……ただいまっ!ハルくんのことはまこちゃんに免じて許してあげよう~♪」
そう言い悠は真琴の胸に顔を擦り寄せた。
「ふふっまこちゃんの匂いだぁ………」
真琴「へっ!?匂いって……それ大丈夫なの?!臭いってこと?!」
「えへへっまこちゃん大好きぃ~~」
慌てふためく真琴のことなど気にも止めず、悠は抱きついたまま真琴に笑顔を向けていた。
その様子を見ていた遙は、少し眉間に皺を寄せる。
悠は思い出したかのように、真琴からパッと体を離すと、遙に近づき、両手を広げた。
「ハルくんっハグ、ハグっ!」
悠の言葉に遙の頬がほんのりと赤く染まる。
遙はふぅ、と息を吐くと両手を広げ、彼女を包み込んだ。
「………ただいまっハルくん。」
腕の中で小さく呟く彼女を抱き締める手に力が籠る。
遙「………おかえり。………待ってた。」
背中に回っている悠の腕に力が入ったのを感じる。
「……うん。待っててくれて、……ありがとう。」
二人はしばらく無言で抱き合っていたが、悠が体を離すと遙は少し名残惜しく思い、しばらくの間、彼女に手を伸ばしたままだった。
悠は二人の顔を順番に見上げると、満面の笑みで二人に手を差し出した。
「行こっか!」
真琴「うん。……行こう!」
遙「…そうだな。」
二人は悠の手を取ると、悠の両脇に立ち、並んで歩いた。
3人で並んで歩くその姿は昔と変わらない___
ただ、
唯一違うのは、遙と真琴が悠に指を絡めて手を繋いでいる所謂恋人繋ぎであることだけだった。