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それでも僕らは。【 Free! 】

第3章 変化する距離感【*裏指定*】


相変わらずマイペースを続けている遙は、水着にエプロン姿でキッチンに立つと、そのまま朝食の鯖を焼き始めた。






真琴「ちょっ!ちょっと、ハル~!?時間ないって言ったよねぇ!?」





焦り出す真琴のことなど気にも止めず、真剣に鯖を見つめる遙の姿に悠は思わず笑ってしまう。





「ふふっハルくん、本当に鯖が好きなんだねぇ~♪本当のイルカみたい。」






そう言い、楽しそうに遙の元へと駆け寄るとその真剣な背中にぎゅうと抱きつき、手元を覗きこむ。






遙「__っ、悠っ///!?」



「ん~確かに美味しそう♪さすがハルくん、焼き方上手だね!」





突然のことに動揺し、顔を赤らめる遙にさらに追い討ちをかけるように顔を覗き込んでくる悠により、遙の心臓は瞬時にトップスピードで鼓動を刻み始めてしまう。






真琴「……………。」





鯖を前にくっついている二人の後ろで、苦々しい顔をしている真琴。




その手は伸ばされ彼女を掴もうとするも、あと少しのところで断念し、結果、宙を掴むだけになっていた。






真琴(……… 悠が……俺以外の誰かに触れているのが、こんなにも胸が苦しくなるなんて………)






そのまま真琴は俯くと、伸ばしていた手をそっと自分の胸にあてる。






真琴(…………一度、彼女の熱を知ってしまったことで、きっと今まで以上に悠を深く求めてしまってるんだ………)






気がつくと目の前でくっついていた二人の体は離れ、焼き上がった鯖を皿に盛り付ける遙と、炊飯器からご飯を茶碗に盛り付けている悠の姿。


真琴は遙のために甲斐甲斐しく手伝いをしている悠の柔らかな髪に触れる。






「……ん?マコちゃん、どうしたの?」






真琴の心に渦巻く思いが伝わることはなく、目の前の彼女はいつものように、ふわりと柔らかな笑顔を向けてくれている。真琴もつられて笑顔になると、少しだけ掴んだその柔らかな髪の束を口許に運び、キスを落とした。







真琴「…………ううん。………ちょっと寂しかっただけ。」







ほんのりと赤に染まる悠の頬。




遠慮がちに向けられた視線。

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