第3章 変化する距離感【*裏指定*】
目の前の彼女は真琴の手を取るとそっと自分の頬へと重ね、ふわりと笑う。
「………うん。これからは、ずっと一緒だよ。」
真琴の心に悠の言葉がゆっくりと染み渡っていき、徐々に安堵感を広げていく。
真琴「……… 悠……帰ってきてくれて、ありがとう。」
「こちらこそ、だよ?マコちゃん、待っててくれてありがとう!」
大好きで、大事で、
愛しくて堪らない悠とまたこうして時を重ねていけることが、
嬉しくて、嬉しくて、
真琴の顔はふにゃりと笑みを溢す。
一緒にいれることの嬉しさが溢れ出して、笑顔が情けないほど弛んでいて。
そっと、彼女の手を引き、小さな体を包み込むと感じる甘い香りと熱。
(俺の………宝物なんだよ………… 悠…)
昨日までの日々が嘘だったみたいに、今目の前の世界は甘く色鮮やかなもので満ちているような……そんな気持ちになる。
「マコちゃん、私ね。東京での生活も楽しかったし、嫌なことも何もなかったけど………いつもどこかで寂しい気持ちがあって、それは何をしてもだれといても埋まらなかったの。…………でもね、今日、ハルくんとマコちゃんに会ったらね、いっぱいいっぱい嬉しくて、そんな気持ちがあったことすら忘れちゃってたよ。」
真琴の手がゆっくりと悠の頭を撫でていく。その感触を味わうように悠は、そっと目を閉じると体の力を抜き、真琴に体を預けていた。
「………俺たちが、埋めることが出来たなら…本当に嬉しい。きっと足りなくなってたパズルのピースが俺たちと会ってはまったんだね。………でも、それはね、俺とハルも同じだから…、ずっとずっと、悠に逢いたかった。傍に……いてほしかったんだ。」
自然と重なる視線。
お互いの想いがそれぞれの心に響き、胸を熱くさせる。
例え距離が離れていようが、考えていたことは同じだった、そのことが二人にとって何よりも嬉しく思えた。
悠はそのまま真琴に包まれるようにして眠りについた。
"明日も当たり前に一緒に居られる"
そのことに幸せを感じながら、二人は深い眠りの海へと沈んでいった。