第3章 変化する距離感【*裏指定*】
今まで触れたくて触れたくてどうしようもなかった彼女と繋がれたことに、真琴は何とも言えぬ幸福感を味わっていた。
今、まさにこうして悠が自分の腕の中にいることすら、やや現実離れしている気持ちだが、それどころかこの可愛くて仕方がない彼女と自分がほんの少し前まで一つになっていたのである。
最終的には欲望に負けてしまった真琴ではあるが、今となってはその判断もありだったかな、とすら思えてしまうわけで。
真琴「悠~好きだよ。大好き。」
先程から自分の口から出る言葉はこの単語のみで、いい加減言い過ぎなのか、目の前の悠がくすくすと笑い始めた。
「クスクスっ……私もマコちゃんのこと大好きよ?」
幸せすぎて潤んでしまった瞳に彼女の細い指が触れる。
「………マコちゃん。暖かいね。」
まだ少し息が上がる中、にこりと微笑む姿は本当に可愛らしくて真琴の鼓動は脈打つ速度を増していく。
真琴「………うん。悠も暖かいね。」
目の前の悠の頬を撫でる真琴の手に、そっと彼女の掌が重なる。
ふと思い出される疑問。
真琴「ねぇ……… 悠はどうして、戻ってきてくれたの?」
真琴の言葉に少し黙りこんだ悠だったが、すぐに困ったような笑顔を湛え答えを口にする。
「…………ハルくんが………"俺のために戻ってきてほしい"って言ってくれたから……かな。」
瞬間ドキリと跳ねる真琴の心臓と追い付かない頭。
真琴("ハル"の、ため………?それって___)
真琴「……………それを、もし、俺が言ってたら…………悠は帰って来てくれた___?」
俯く真琴。
言ったはいいものの悠をの反応を見るのが怖くて仕方がない。
なかなか聞こえてこない返答。
ちりちり、と胸の奥に不安が蠢く。
「_____マコちゃん。」
名前を呼ばれピクリと反応する体。
「………帰ってきたよ。………マコちゃんが呼んでくれたら。」
彼女の言葉にバッと顔をあげる真琴。
真琴「…………俺のためにも……………ここにいてよ。」