第3章 変化する距離感【*裏指定*】
朝になり朝食と身支度を済ませた二人は、鮫柄学園に向かうべく遙を家まで迎えに来ていた。
………が、先ほどからインターホンを鳴らすも家の中からは反応がない。
不思議そうに首を傾げる悠の横で、はぁ、とため息をもらす真琴は、彼女の手を握るとそのまま勝手口へと歩いていった。
「えっ!勝手に入っちゃっていいの?」
驚く悠に眉尻を下げ困ったように微笑む真琴。
真琴「………うん。いいんだ。………たぶん、ハルはいつものところだから。………あ、でも一応ここで待っててくれる?」
「?うん。」
真琴が示した先は浴室らしき扉の前。
悠を残したまま真琴は浴室内に入るともはや定番化しつつある水風呂に沈むこの家の主の姿。
真琴の存在に気づいたのか、ザバッと上がった上半身。
すっ、と出された真琴の手に遙の視線が止まる。
真琴「おはよう。…………ハル。」
遙「ん。」
出された手を掴み浴槽から出た遙は、いつも通り?下半身には水着を纏っていて、真琴は、ははは、とから笑いをした。
真琴「これから凛のいる鮫柄に行くんだよ?早く用意しないと、遅れちゃうよ。」
遙「………わかってる。」
わしわしと頭と体を拭きながら、浴室を出ようとする遙。
真琴はその行く末にハッとし、遙を止めようとするも時すでに遅し。
「わっ!ハルくんっ!?……な、何で水着///!?」
遙「___っ悠っ!?」
突如現れた水着姿の遙に驚きを露にする悠だったが、その顔はすぐに弾けるような笑顔に変わった。
「ふふっ家でも水着って、何かハルくん、らしいね。……ハルくんは水に触れないと生きていけないもんね?」
覗き込んでくるその大きな瞳に自分が写っている。
その事が遙の胸をドキリと跳ねさせた。
遙「………水と一体化したいだけだ。」
フィ、と去っていったその顔は見えなかったが…、後ろから少しだけ見える耳は赤く染まっていた。